コラム
「戦略と計画」と「MQ会計」
2023.07.0711:41
カテゴリー:コラム
これまで7年ほど「戦略社長塾」講師を行ってきましたが、教える側も毎回毎回学ぶことが多く、まさに「教えることは学ぶこと!」を体験しています。現在、とあるセミナーで、ランチェスター戦略について学び直しをしています。その中で、「戦略」と「計画」の違いについて、考えることがありました。
今回は、「戦略」と「計画」の違いを整理してみようと思います。「戦略」とは、「今やることを決めるためのもの」でパーフェクトな答えを求めません。「管理」という観点から行くと、「管理不可能なもの」です。「計画」とは、「将来やることを決めるためのもの」でパーフェクトを追求するものです。「管理」という観点から行くと、「管理可能なもの」です。
会計の世界では、「管理会計」という分野がありますが、代表される「原価管理」や「予実管理」などは、確かに「管理」して、チェックして、パーフェクトなものを追求しているのかもしれません。「予算を実行(消化)する!」「売上目標を達成する!」数字に縛られて、本来の経営を見失ってしまうこともしばしばみられます。
さて、皆さんがご存じの「MQ会計」についてはどうでしょうか?「戦略的会計」というなんとも微妙な表現がよくされますが、今回整理した「戦略」「計画」に当てはめれば、どちらでも使える『ツール』です。
ただし、会計の数字だけで考える計画は、「絵に描いた餅」に終わりやすいので、シェアの数字を意識した計画を、MQ会計ツールを使ってできますので、やってみてください。
バランスシート
2023.03.2714:02
カテゴリー:コラム
会計用語で「貸借対照表」を英語では、「バランスシート(Balance sheet)」といいます。<略してB/S>
では、このバランスシートの語源は、表の左と右が一致する(均衡している)からバランスシートとなったのでしょうか?
私も知らなかったのですが、ほとんどの会計人が誤解していると思います。Balanceを辞書で引いてみると、「均衡」の意味のほかに「残高」という意味がもともと英語の中にあるのです。
つまり、バランスシート(B/S)とは、左と右が均衡しているという意味ではなく、「残高表」を意味しています。
すなわち、正しい「貸借対照表」の意味は、「ある一定時点における資産と負債の残高を表にしたもの」だということです。
中国では、「貸借対照表」の「資産負債表」と言うそうです。
ここに「資本」という言葉はありません。
このことからわかること。「貸借対照表」の「資産」「負債」「資本」のうちの「資本」とは、単なる差額だということ。
反論もあるかもしれませんが、「資本の部=自己資本」とは、『単なる差額の概念で実体のないもの』であるということです。
「自己資本」=「企業の貯蓄」という捉え方をしていないでしょうか? まずは、「資産」が何で、「負債」が何かをよくよく見ていく必要がありそうですね。
「自己資本比率が低いと融資できません」「自己資本を投資に回して経済を活性化させる」など、「自己資本」という言葉が良く使われますが、果たして「自己資本」とは何なのか?
もう一度原点に立ち返って、考えなければいけないと反省させられた気づきでした。
現在、クライアント企業の採用活動を手伝っております。1人で税理士事務所とコンサルタントをやっている私としては、本格的な採用活動に携わるのは、初めてです。その中で思ったこと感じたことを少し。
まず第1に、従来のハローワークや求人広告では、なかなか応募者数も少ないこと、希望の人が集まりにくいこと。これは、以前からクライアントとの話の中でよく聞いていたことではありますが、実際にやってみても、同じような状況でした。そして、LINEを活用しての募集から、かなり優秀な応募者が集まってきました。求人広告のやり方についてもSNSの波はかなり押し寄せてきていますね。商品広告や企業広告と似たような状況になっています。
そして、2つ目。これは知らなかったのですが、政治宗教思想以外にも、面接のときに聞いてはいけないワードがかなりあったこと。例えば、出生地や本籍、家族に関すること、住宅状況に関することなどなど。履歴書と職務経歴書と面接だけで判断するのは、なかなか難しそうです。企業を取り巻く労働法は、ハラスメント問題・働き方改革・不当解雇・残業代未払いなどなど、益々企業側が慎重に対応しなければいけない時代になってきています。
3つ目に、優秀な人材を確保したり、パートナーシップを結ぶ時にも、商品を購買する消費者・顧客にアプローチするかの如く、ターゲットを絞って採用する必要があること。ここにもランチェスター戦略的な発想が必要になりそうです。
今回、様々なチャネルから募集して、面接をしました。「地域戦略」ではないですが、結果的に採用したのは、自転車で通える距離の方、2名でした。今後どうなっていくでしょうか?
決算書分析とは、生産性・安全性・収益性などの項目別に経営状況を分析する方法です。
会計ソフトなどで必要な設定をすれば、今や勝手に分析表を作ってくれます。私は、仕事柄、昔から社長とのコミュニケーションツールとして、決算書報告とともによく利用していましたが、この話をしても、どうもコミュニケーションがかみ合わないなと感じて最近はあまり利用していません。コミュニケーションがかみ合わない原因は、いくつか考えられるのですが、一番の原因は、税務署と銀行のために作られた決算書が経営の未来を考えるにあたっての情報があまりにも不足していること、経営情報がゆがめられていることが原因と考えられます。
例えば、「棚卸資産回転率」という比率があります。この比率は高い方がいいですか? 低い方がいいですか?
棚卸資産回転率 = 売上高 ÷ 期末の棚卸資産
で求められ、「棚卸資産」が1年で何回転したかという意味です。税理士は、この回転率が悪いから、在庫を減らせというでしょうね。果たしてそうでしょうか?
在庫は、将来的に売上になるものです。それが少なければいいって本当ですか?そもそも在庫は、自分で正確に計算していますか?自己資本比率は、高い方がいい?低い方がいい?銀行は、高い方がいいと言うでしょうが、稼いだ利益が未来への投資や社員の給与や・株主に回っていないということを意味するのかもしれません。
「経常利益率は10%が良い」と○○さんが言ってますが、本当ですか?業種ごとに売上高に対する比率は、違いがありそうですが。銀行・コンサル・税理士の言うことを鵜呑みにせずに、まずは、その比率がどうやって導き出されているのかを質問してみて下さい。
「戦略」も「分析」もどうやら自らで考える力をつけるという訓練が必要な様です。
フェルミ推定
2022.06.0115:47
カテゴリー:コラム
論理思考力・思考の柔軟性・伝える力を鍛えるための方法として、「フェルミ推定」というものが役に立つと思いましたので、今回はこれを紹介したいと思います。
大手コンサルティング会社の就職試験などと中心に、論理的思考・思考の柔軟性を試すための手段として、フェルミ推定を用いる会社が増えています。
フェルミ推定の有名な質問として、「日本に電柱は何本ある?」という質問があります。答えを緻密に出すことを目的とするのではなく、そこに至るまでの論理的思考能力と伝える能力が試すことを目的にしています。
「フェルミ推定」を説明するために、最もわかりやすい例題を出すとすれば、「日本人のうち男性は何人?」みたいな質問になります。
推論を立てるためのデータ情報が必要です。まずは、常識レベルとされている様々なデータを集めます。
今回、必要なデータ情報は、
「日本人の人口1.2憶、 生物学的に男女比率1対1」
ここから、 1億2000万人×1/2=男性人口6000万人
という答えを導き出します。
ランチェスター戦略を教えていると、シェアをどうやって出せばいいのですか?という質問は、必ず受ける質問です。
もちろん、帰納法的に具体的事実から、現状を推定して把握していく方法もありますが、このフェルミ推定は、シェアを演繹法的に導き出す有効な思考方法ではないかと思います。
論理的思考トレーニングの1つとして、このフェルミ推定のトレーニング問題の本など数多く出ていますので、お試しされてみてはいかがでしょうか?