コラム

MQ会計もどき

2024.04.3013:10

カテゴリー:コラム

MQ会計もどき

ラーメン屋さんの会計です。次の中で、「原価」は、どれでしょう?
①材料費(麺・スープなど)
②人件費(調理人の給料、接客アルバイト代)
③水道光熱費(お店の電気ガス水道代)
④ 消耗品費(はし、テーブルの調味料など)
①-③については、「原価」
④については、「原価」または「販売管理費」になります。

これをさらに、原価計算の考え方で分類すると、「直接費」 ②~④は、「間接費」となります。
「間接費」は、さらにラーメン1杯の原価を割りだすため、「何らかの方法」で配賦計算します。
「原価」と「経費」に分けます。「何らかの方法」?? (笑)

原価計算をもとに算出される分析は、これが極めて、非科学的なのです。(配賦した原価は、本当にQに正比例しますか?)MQ会計は、本来きわめてシンプルなものです。
Qに正比例するものはV、そうではないものは、すべてFになります。

したがって、語源である「V(変動費)」「F(固定費)」とは、本来違うものなのです。
正しくは、「Qに正比例するもの=V」「Qに正比例しないもの=F」です。
語源に引っ張られて、本来のMQ会計の考え方と違う方法で、思考しないようにしましょう。

それでは、Vは何なのか、Fは何なのか?
社長ご自身の頭で考えて、一番しっくりくるものを採用するのが良いです。MQ会計にルールはありません。
あくまで考えるための道具(ツール)です。

「戦略脳」と「戦術脳」

2024.01.2217:22

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「戦略脳」と「戦術脳」

(問題)メロン1個とみかん1個の合計金額は1100円です。
メロン1個とみかん1個の値段の差は、1000円です。
メロン1個の値段は、いくらでしょう?(メロンの方が高い)
こういう問題を出されると、多くの場合、メロン1個1000円と答えてしまうでしょう。

1050円のメロンと50円のみかんで合計1100円が正解です。

2002年に行動経済学者でノーベル経済学賞を受賞した ダニエル・カーネマン氏が、著書『ファスト&スロー』の中で、人間の思考には、【システム1(早い思考)】と【システム2(遅い思考)】があり、
「システム1」は直感的思考、「システム2」は論理的な思考を指し、常に人間は脳のエネルギーの省力化のため、システム1が優位にある(デフォルトがシステム1)と言っています。

この話を聞いて、いわゆる「物事を鵜呑みにする人」というのは、このシステム1だけで判断する行為が習慣化されてしまった人だと感じました。常にフォーマットやマニュアルに頼る人の特徴を見ていると、システム1からシステム2へ脳が移行する時間を待てないことが習慣化されてしまったように感じます。そのほうが楽だからです。

戦略と戦術の関係で考えると、「戦術脳=システム1」と「戦略脳=システム2」ですね。
このように脳の仕組みを理解しておくと、意識的にシステム2の脳のスリープ状態から稼働する時間を待つということが習慣化され、「戦略脳」が鍛えられていくのではないでしょうか?

狙うべき中心市場を絞る

2023.11.0110:09

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狙うべき中心市場を絞る

「実践ジム」で使用している「商品・地域・客層」について、「重点・中心・範囲」を決定して、9つのマスを埋める「戦略マトリクス」はご存じかと思いますが、特に戦略の構築初期の段階において、「中心」の内容が広い市場を狙いすぎているというケースが散見されます。
いろいろとヒアリングをしていくと、「市場を絞りすぎると、これまでやってきたことに対し、売上のチャンスを失ってしまうのではないか?それではやっていけなくなる。」といった怖さがあるということをお聞きします。

そういった場合、ちょっと視点を変えて、狙うべき中心市場において、シェア42%をとった時に、どれぐらいの売り上げが立ち、どれぐらいの利益が残りそうかを算出してみるといいと思います。
「1人当たりの粗利益が業界平均の1.5倍~2倍」を目指すにあたって、市場の絞り込みができていない場合、自社の社員の規模以上に広すぎる範囲を狙っていることがわかると思います。
中心とする市場を狭くしても、「範囲」で稼ぐことはできます。売上は、「範囲」でも稼げることを合わせて考えると、現時点では狙うべき「中心」市場がもっともっと狭くても大丈夫なことがイメージできると思います。

戦略構築において、狙うべき市場の大きさをきちんと把握し、自社の身の丈にあった「1位主義」を目標に掲げないと、「何でもやります」の「売上主義」の発想に結局戻っていってしまうことになります。何のために、目指すべき「1位」を設定するのか?

「売上利益は後からついてくるもの。」そこを見失わないようにしたいものです。

「戦略と計画」と「MQ会計」

2023.07.0711:41

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「戦略と計画」と「MQ会計」

これまで7年ほど「戦略社長塾」講師を行ってきましたが、教える側も毎回毎回学ぶことが多く、まさに「教えることは学ぶこと!」を体験しています。現在、とあるセミナーで、ランチェスター戦略について学び直しをしています。その中で、「戦略」と「計画」の違いについて、考えることがありました。

今回は、「戦略」と「計画」の違いを整理してみようと思います。「戦略」とは、「今やることを決めるためのもの」でパーフェクトな答えを求めません。「管理」という観点から行くと、「管理不可能なもの」です。「計画」とは、「将来やることを決めるためのもの」でパーフェクトを追求するものです。「管理」という観点から行くと、「管理可能なもの」です。

会計の世界では、「管理会計」という分野がありますが、代表される「原価管理」や「予実管理」などは、確かに「管理」して、チェックして、パーフェクトなものを追求しているのかもしれません。「予算を実行(消化)する!」「売上目標を達成する!」数字に縛られて、本来の経営を見失ってしまうこともしばしばみられます。

さて、皆さんがご存じの「MQ会計」についてはどうでしょうか?「戦略的会計」というなんとも微妙な表現がよくされますが、今回整理した「戦略」「計画」に当てはめれば、どちらでも使える『ツール』です。

ただし、会計の数字だけで考える計画は、「絵に描いた餅」に終わりやすいので、シェアの数字を意識した計画を、MQ会計ツールを使ってできますので、やってみてください。

バランスシート

2023.03.2714:02

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バランスシート

会計用語で「貸借対照表」を英語では、「バランスシート(Balance sheet)」といいます。<略してB/S>
では、このバランスシートの語源は、表の左と右が一致する(均衡している)からバランスシートとなったのでしょうか?
私も知らなかったのですが、ほとんどの会計人が誤解していると思います。Balanceを辞書で引いてみると、「均衡」の意味のほかに「残高」という意味がもともと英語の中にあるのです。

つまり、バランスシート(B/S)とは、左と右が均衡しているという意味ではなく、「残高表」を意味しています。
すなわち、正しい「貸借対照表」の意味は、「ある一定時点における資産と負債の残高を表にしたもの」だということです。
中国では、「貸借対照表」の「資産負債表」と言うそうです。
ここに「資本」という言葉はありません。

このことからわかること。「貸借対照表」の「資産」「負債」「資本」のうちの「資本」とは、単なる差額だということ。
反論もあるかもしれませんが、「資本の部=自己資本」とは、『単なる差額の概念で実体のないもの』であるということです。
「自己資本」=「企業の貯蓄」という捉え方をしていないでしょうか? まずは、「資産」が何で、「負債」が何かをよくよく見ていく必要がありそうですね。
「自己資本比率が低いと融資できません」「自己資本を投資に回して経済を活性化させる」など、「自己資本」という言葉が良く使われますが、果たして「自己資本」とは何なのか?

もう一度原点に立ち返って、考えなければいけないと反省させられた気づきでした。