コラム
「生産性」を考える
2019.07.1209:59
『労働生産性を上げる。』
働き方改革の旗印のもと、「生産性の向上」というキーワードをあちこちで聞くようになってきた。
しかし、生産性を上げるとはどういうことか、どういう良いことがあるのか?
この部分をないがしろにして生産性を上げることに意識を向けても意味がない。
ざっくりいうと、
「生産性」=「産出(アウトプット)」÷「投入(インプット)」
の式であらわされる比率の話である。
「産出」とは、「生産量(個数・重さ・大きさ)」という物量であったり、
「売上額」「付加価値額(粗利益額)」という金額であったりする。
「投入」とは、「人」であったり、「機械などの設備」であったり、
「労働時間」であったり、企業が持っている『資源(リソース)』が基準になる。
つまり、どういう単位で持って、生産性を測るのかによって、その意味も変わってくる。
ランチェスター戦略を勉強している人ならおなじみの「1人当たり粗利益額」の指標は、
『粗利益額(付加価値)÷従業員数(人)』なので、生産性をあらわす一つの指標であるといえる。
1つの指標ではあるが、例えば、人間のやっている仕事を機械・ロボットにシフトしたらどうであろうか?
労働者・労働時間の減少に伴い、「労働生産性」は、確かに向上するが、
「設備投資1単位当たりの生産性(資本生産性という)」は落ちる。
つまり投下する資金が人から機械にシフトしただけである。
やはり、投入できる資源の限られている零細企業においては、量を投入しないで付加価値額を上げる方法しかない。
比率をいくら良くしたところで、額が足りなければ意味がない。
額のアップの方法は、やはり効率性ではなく、
効果性を追求するランチェスター戦略のとくに「弱者の戦略」。
「差別化戦略」
↓
「限られた市場の中でのシェアUP ⇒ シェア1位 」
↓
「利益の集中」
↓
「新たな限られた市場へ資源の投入」
の手順を踏むしかないのだと改めて思う。