コラム

信者になってはいけない

2020.06.2609:00

カテゴリー:コラム

信者になってはいけない

ある方がSNSで紹介されていた「経済学」の本を読みました。
一応、私も経済学部出身でありますので、少しは経済知識をかじったつもりでいましたが、ランチェスター戦略を初めて知った時のように強い衝撃を受けました。

① お金をジャブジャブと増刷して金利を安くしたところで、デフレ対策にはならない。
② お金とは信用取引の形を変えたもので、真の経済はお金を中心に回っているものではない。
③ 「国内政府の収支」を健全にしたところで、財政破綻は免れない。事実、ギリシャもアルゼンチンも財政が健全化(プライマリーバランス黒字化)した上で破綻した。

この本を要約すると、こんなところでしょうか。
これまで私は、政府も企業経営と同様に「収入と支出のバランス」が大事だという思い込みがあったのですが、必ずしもそうではないということを知りました。
「お金」というものの価値観も改めさせられました。

何事も「固定概念を捨てる」「常識を疑う」ということは、難しくもありますがとても大切なことです。
「信者になってはいけない」

自分自身で物事を考えられるように、素直になってもっと多くの学びと経験をしていかなければと思った出来事でした。

利益(りえき・りやく)

2020.01.1718:19

カテゴリー:コラム

利益(りえき・りやく)

「御利益(ごりやく)がありますように。」

神社での参拝の時によく使う言葉なのですが、もともとは仏教用語で、「善い行い、人のためになることをして、仏様から与えられる恵み」のことを言うようです。転じて、「御」を取れば、「利益(りえき)」と読みます。「利益」とは、「自分のための得」のことであり、「御利益(ごりやく)」とはまた少し違った意味になります。

今回は、「利益(りえき)」の意味を考えてみたいと思います。会社は、何のために「利益」を出すのでしょうか?そして、「利益」とは、何なのか?どうやって計算するのか?本当に理解しているでしょうか?会計人も企業の求めに応じて、その意味も理解せずに必要に迫られて、計算しているように思えます。(私も含めて) そして、この「利益」の計算を、企業は、税務署・銀行・株主のために、わざわざ1ヶ月・四半期・1年と区切って計算をします。報告の義務があるからです。

ドラッガーも言っています。『「事業年度という暴君」から自らを解放しないかぎり、合理的な事業のマネジメントは行えない。「現代の経営(上)」P106参照』

期間利益計算にこだわりすぎると、短期的視点の経営を促し、長期的視点の経営の足を引っ張ることがあります。このことを肝に銘じ、「利益」と付き合っていきたいものです。

ライ『?』・ワーク

2019.11.2213:08

ライ『?』・ワーク

「働く(仕事)」とは?

私が学生当時、就職活動の面接などでよく問われていました。

もう一度原点に返って、「働く」を整理してみたいと思います。

「働く」とは、2種類の方向性があります。

「自分のために(利己)」か? 「社会のために(利他)」か?

起業した当初は、やはり「自分のために(利己的に)」働くことになるでしょう。
即ち、
「①明日の生活のためのお金を稼ぐこと」、
そして、
「②自分の好きなこと・得意なことを仕事になるようにすること」
を目指します。

最初はこれでいいと思います。
まずは、沢山の経験を積むこと、自分の生活を安定させること、これが最初に大事なことですから。。。

ただ、それが叶いつつあると感じられるようになったら、
もう少し視野を広げて、それを
「③仕事を地域・社会・世界とより多くの人へ届けられるようにすること」
を目指したほうが、より働く喜びを満たすことができるようになると思います。

このビジョンが描けた時が、「願望・夢」から「志・大義」へと変わるタイミングになります。

この働き方の3つのステージを

「① ライ『ス』・ワーク」
「② ライ『ク』・ワーク」
「③ ライ『フ』・ワーク」

と捉えると、自分のステージがより分かりやすくなるでしょう。

そして、「自分の人生を社会のためにこう捧げたい」という
③のビジョンを持っておくべきです。

そのためにも「経営戦略」の勉強をしておくことは、挫折することなく志を実現する手段となると思います。
「目的」は『志の実現』、「手段」は『経営戦略』の関係です。

働き方改革の一環で『ワークライフバランス(仕事と生活の調和)』がうたわれていますが、社長は「充実した働き」を提供できる『場づくり』、社員は「充実した働き」を提供できる『人』になれると良いですね!

5+2=?

2019.10.1117:47

カテゴリー:決算書

5+2=?

「りんご5個とみかん2個、あわせて果物は何個でしょう?」

バカにしているのかと思われそうですが、答えは7個ですね。
計算式は5個+2個=7個。

では、「りんご5個とみかんジュース2リットル」を足すと?
おそらく、誰も答えられないでしょう。

足し算は、それぞれの「単位」が違うと計算不可能です。 「りんご1個20円、みかんジュース1リットル100円です。 あわせていくらでしょう?」
20円×5個+100円×2L=300円 「円」という共通の「単位」を持つことによって、計算することができました!

決算書の話をしましょう。 日本の会社の決算書は、「円」「千円」「百万円」という単位を揃えたもので書かれています。
単位を揃えたがゆえ、決算書というもので、会社の営業成績や財産の状態が把握できるようになります。

一方で、単位を揃えたがために消えてしまった情報もたくさんあります。
社員が何人か、どういう商品を何個持っているか、お客は何人か、チラシは何枚配ったのか、営業は何件訪問したのか。

こういう情報は、決算書には載ってきません。
「単位」は何なのか?そしてその裏には何が隠されているのか?
量では測れない定性的情報もあります。

あらゆる情報とうまく付き合っていきたいものです。

「生産性」を考える

2019.07.1209:59

「生産性」を考える

『労働生産性を上げる。』
働き方改革の旗印のもと、「生産性の向上」というキーワードをあちこちで聞くようになってきた。
しかし、生産性を上げるとはどういうことか、どういう良いことがあるのか?
この部分をないがしろにして生産性を上げることに意識を向けても意味がない。

ざっくりいうと、
「生産性」=「産出(アウトプット)」÷「投入(インプット)」
の式であらわされる比率の話である。

「産出」とは、「生産量(個数・重さ・大きさ)」という物量であったり、
「売上額」「付加価値額(粗利益額)」という金額であったりする。
「投入」とは、「人」であったり、「機械などの設備」であったり、
「労働時間」であったり、企業が持っている『資源(リソース)』が基準になる。

つまり、どういう単位で持って、生産性を測るのかによって、その意味も変わってくる。

ランチェスター戦略を勉強している人ならおなじみの「1人当たり粗利益額」の指標は、
『粗利益額(付加価値)÷従業員数(人)』なので、生産性をあらわす一つの指標であるといえる。
1つの指標ではあるが、例えば、人間のやっている仕事を機械・ロボットにシフトしたらどうであろうか?

労働者・労働時間の減少に伴い、「労働生産性」は、確かに向上するが、
「設備投資1単位当たりの生産性(資本生産性という)」は落ちる。
つまり投下する資金が人から機械にシフトしただけである。

やはり、投入できる資源の限られている零細企業においては、量を投入しないで付加価値額を上げる方法しかない。
比率をいくら良くしたところで、額が足りなければ意味がない。

額のアップの方法は、やはり効率性ではなく、
効果性を追求するランチェスター戦略のとくに「弱者の戦略」。
「差別化戦略」
   ↓
「限られた市場の中でのシェアUP ⇒ シェア1位 」
   ↓
「利益の集中」
   ↓
「新たな限られた市場へ資源の投入」

の手順を踏むしかないのだと改めて思う。